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忘れられない旅行

花*男

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shiroibeach&kanattayume

短編「白いビーチと叶った夢」     映画「花より男子ファイナル」の続き


「ねえ、道明寺。 夢ってさ、叶ってもどんどん続いていくもんなんだね・・・。」

「おう?夢か?」

つい先ほど、このお腹に私達の愛の結晶がいることを知った道明寺は、想像したとおり両手を挙げての喜びようで、海の彼方まで届くような歓喜の声を張り上げていた。

興奮が治まらない様子で、こうして二人ビーチで寝転びながらも、ずっとニタニタと私のお腹を見たりそっと触ったり。

私の話も上の空だ。

「道明寺、あんた、パパだよ!・・・クスッ、笑っちゃうけど。」

「おう、親父だ。」

「これからは、ちゃんとした日本語を話してよ~、間違って覚えちゃ、あんたみたいになって馬鹿にされるもん。」

「ああ、そうだな。」

「ちょっとぉ~、そこは普通絡むとこでしょ。」

「そうかもなぁ~。」

「ふぅ~。」

まったく、上の空で話にならない。


でも、それだけ、喜んでくれているんだ。
きっとお腹の赤ちゃんにも伝わって、こんな可愛いパパで良かった~って思ってくれてるよ。

強い巻き毛は、南の島の太陽の下、濡れる端からすぐに乾いて再びカールを見せる。
ビーチの白い砂が髪にも頬にも逞しい胸にもいっぱいくっついて、それでも気に留めないから、砂の方から滑り落ちていく。
ニタリと笑うと覗く白い歯は、眩しいほど輝いていて、思わず見入ってしまう。

道明寺の大きな手がお腹に触れるたび、私たちが繋がっている喜びに心が震える。

こんな最高な形で、夢を叶えてくれてありがとう・・・。


私があんたと出会ってから、ここまでの軌跡は半端じゃないくらいたくさんの出来事の連続だったよね。
でも、ここまで来れたのは、みんなあんたのお陰だね。

私だけを信じ、宝物のように大切にしてくれた。
運命の女と世界に公言し、口先だけじゃなく、いつも気持ちを見せてくれた。

あんたの強い思いは桁違いに大きすぎて、時には見えなくなっちゃいそうだったけれど、ずっと大きな包帯のように私を包(くる)んで支え続けてくれたよね。


今なら言える。
価値観の違いは、きっとどうにかなる。

栄養の摂りすぎでブクブク太っても、牧野は牧野だからなって言ってくれて嬉しかったな。

道明寺、ありがとう・・・いつも、私を信じてくれていて。
ベガスで言ったことは、本当の気持ち。


『道明寺と一緒だから、何も怖くない。』


いつの間にか、私はあんた無しでは生きていけなくなっちゃったよ。

「道明寺・・・。」

「ふん?」

「道明寺・・・。」

「は?」

「・・・道明寺。」

「なんだよ、うっせいな。人が人生で最も幸福なひと時を味わっている時に。」

「・・・愛してる。」

「////っ!!、いきなり何だ!でもまあ、俺様がこんだけ愛を注いでやってんだからよ、あったりまえだろ!一方交通なんてありえねえだろ。」

「ップ、それを言うなら、一方通行でしょ?」

「っつ・・・。」

照れ屋な道明寺らしいセリフだ。

視線の端には青い空と野生林、そして白い砂浜。
私を捉えて離さないのは、20センチ向こうから見つめる黒い双眼で、その瞳の中には大きな空と小さな私がいる。
その瞳に、私はどう映っているのだろう?

見れるものなら、覗いてみたい。
このまま、吸い込まれて一つになってもいいかもしれない。
どうせ、腐れ縁の運命共同体なのだから。

道明寺の瞳に映る空がどんどん小さくなって、代わりに私が大きくなっていくと思ったら、私の顎にそっと指を添え、唇を重ねてきた。

軽いフレンチから、やや舌をからませて。


「格別の味がするな。」

「・・・どんな?」

「幸せの味。」

道明寺は優しい瞳で私を見つめ続けて、その手は愛しそうに髪を撫でている。

「なあ、牧野、・・・身体は、アレしても平気なのか?」

「アレね・・・///。お医者さんは、ダメって言ってなかったけど。」

「じゃ、そっとだったらいいんだよな?」

「ええっ~?そう確認されても、断言できないよ。多分、大丈夫だと・・・。」

「じゃ、今からコテージ戻ろうぜ。」

身体を起こし、私の手を取ろうと右手をサッと差し出す道明寺。

「俺にもベイビーを確認させてくれ。」

「は?」

「大丈夫だ、そっとする。」

私の身体を引いて大事そうに両手で抱え上げた。

「そういえば、さっき言ってた話、この島買っちゃったって本当なの?」

「ああ、もう俺たちのもんだ。少しはましに過ごせる所も用意させといたから、これからはこうしていつでも来れるぜ。」

「まったく・・・。ポーンと相談も無く買っちゃうところは、問題だね。」

「そうやって、お前はお前らしく文句たたいてりゃあ、ずっと同じじゃねえか。何も問題ねえだろ。」

道明寺が笑顔を見せながら、ヒョイと私を持ち上げお姫様抱っこした。

「キャ。」

「そうだ!この島の名前はこいつの名前にするか?」

顎で私のお腹を指しながら、歩き出す。

「名前、考えないといけないな。よ~し、世界に一つしかない最高の名前を考えてやる。」

「クスッ、まだ生まれてもいないんだよ。」

「牧野、俺は子供は何人でもいいぞ。」

「バカ、限界があるっつうの。」

全くマイペースな喜びようで呆れるけれど、純粋だからこんなにストレートに表すんだよね。
道明寺の喜ぶ顔が見れると幸せ倍増なの、もう気付いてるのかな?

F3は私を猛獣使いと呼ぶけれど、本当はこんなに純粋で愛にあふれた猛獣に、私の方がやられてばっかりだよ。

今もこうして、腕の中でじっとされるがまま。
それが、幸せと感じるからもう暴れない。

枯葉を踏みしめる音と鳥のさえずり、濃い緑々しい艶やかな葉っぱは大きな懐となって、私達二人を暖かく迎えてくれる。

随分逞しくなった男の顔はしっかり前を向いて、惚れ惚れするほど力強い。

下から見上げながら、道明寺がパパになっていく瞬間を垣間見た思いだ。

「お前、夢はどんどん続いていくって言ってたけど、次の夢はなんだ?」

「そ・それは・・・今は、内緒。」

「教えろよ!夫婦に隠し事はなしだぞ。」

「じゃぁ、ヒントね。耳を近づけて。」

話し終えると、とたんに真っ赤になる可愛い道明寺。
ねっ、三人でベッドでまったりしよう。

たまには、猛獣使いになりきって、こうやって遊ぶのも楽しい。

「道明寺。」

「は?」

「道明寺。」

「は?だから、なんだよ!」

「続きはベッドで言ってあ・げ・る。」

とたんに早歩きになったのは言うまでもない。

おしまい




映画のビーチ・シーンが印象的で思い浮かんだ妄想の一コマです。
人生の幸せの絶頂があるとしたら、そのうちの一つには入る(?)シチュですので、お二人からもお裾分けをいただいてもいいですよね。
Boaにとって、初めて書いたつかxつくの上、初めての短編一編ものです。
映画に迷惑がかからないように気をつけながら、サラ~っと軽いお話にと気を配ったつもりなのですが、脳内のイメージが強すぎて、書き終わった時、出来上がりがよくわからなかったです(困)。

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